2010年5月1日〜4日
ACCO:タケ、ワケ、ハッシー、ナベ、ヒゲ、モコ、モエ 5月1日 猿倉駐車場(12:40)−(15:40)小日向のコル着 いつものように嫁さんを実家にデポして、現地でメンバーと合流します。 白馬猿倉の駐車場に深夜に到着し、集合時間である翌朝10時を待ちます。朝になっても、車が駐車場に入りきらないというほどではなかったです。 しばらく猿倉台地散策していると、間もなくの到着との連絡を受けて、駐車場に戻ります。 午前中あるいたコースを往復する感じでしたが、荷物が重いとなかなか勝手が違いますね。 小日向のコルに到着すると、先行パーティや、大学合宿の人たちで大賑わいでした。 明け方になり風もやみ、穏やかな天候になりそうな空模様です。 モルゲンロートに染まる山並にうっとりします(´∀` ) さて、起床ものんびりですが、出発準備ものんびりです。日が昇って1時間半以上たってからの出発は、この陽気で雪がゆるむことを考えると、もう少し早めの行動をせねばと思いました。 一旦、小日向のコルから下り、白馬尻方面に向かいます。大雪渓に向かって人の行列が続いているのが見えます。 緩くなった雪に足を取られながら、だらだらと続く雪稜に取り付き、主稜の登攀開始です。前後にいくつものパーティがいて、それぞれのペースで抜きつ抜かれつ進んでいきます。 八峰にたどり着くと、主稜ルートが見渡せます。 トレースは十分すぎるほどついており、風もなく穏やかで天候も良く、快適な登攀が続きます。 六峰に向けての登りはロープを出しているパーティもありましたが、特に困難な状況もなく、スムーズに通過します。 あわよくば、本日中に山頂を抜けて白馬小屋あたりまでをと思ったりしてましたが、我々のペースではとてもじゃなく付きません。しかも今回は雪洞ビバークをすることにしており、設営も時間がかかります。 午後の柔らかな日差しの中で、ビバークポイントを探しますが、限られた稜線上、先行パーティが陣取っていたり、なかなか決めきれません。 結局、4峰まで行き、比較的大きなテントサイトとなっていたのでそこの下部斜面に雪洞を掘ることにしました。 後続パーティはテン泊なので、さっさと設営して夕飯の準備とかしているようですが、我々はそうはいかず、雪洞作成にもう一仕事です。 小日向にあるBCにはスコップ2本とスノーソーを持ってきてましたが、BCパーティが必要かもしれないということで、スコップは一本置き、スノーソーは失念して、結局スコップ一本でした。。 さすがにはかどらず、見かねた横のパーティがスコップ1本化してくれました。ありがとうございます!(´∀` ) さて、掘り進むと雪もなかなかのしまり具合で、難航します。まずは、2mほどの縦穴を作り、横に掘り進む感じです。 硬い層と柔らかい層があり、以前に積もった黄砂層もでてきました。黙々と作業を交代しながら進めます。 とにかく4人が安定して寝れる状態に、日暮れまでにせねば・・・。 作業開始から、3時間以上かかって、立派な雪洞ができました! 思った以上に温かく、外の風や物音は一切聞こえません。とても快適な居住空間ができました。 ただし、若干、僕の身長では小さく、足を延ばしていたところに雪壁が当たり、冷たくなって夜中何度か目が覚めました。 翌朝、若干雲が見えますが、すぐに消えてなくなり、昨日と同様に陽気な天候となります。 我々は、のんびり構えて、5時起床、7時40分に移動開始です。雪はしまって、雪がゆるんでいた昨日午後より全然歩きやすいです。 出発時、昨晩見えたパーティはほとんど頂上直下まで移動しており、我々の下には本日登攀開始したパーティがわらわらと登ってくるのが見えます。さすがにのんびりしすぎか。。 技術的に困難なところはないですが、荷物も重いため、ゆるんだ雪に足を取られないよう、リッジを崩さないよう、ところどころ慎重に進みます。 天気も良く、とても穏やかなので、周りの景観と雪稜ルートを存分に満喫しながらのんびり進みます。 先行するパーティが最後の雪壁の雪庇を越えていくのが見えます。雪もしっかりしており、ステップもしっかりしているんでしょう。ノーザイルで進むパーティもいくつかいました。さすがに写真のような光景を見ると、緊張感が解けます。2峰と同じくらいの傾斜なので雪が硬ければ我々もノーザイルでもいいかもしれません。 二峰へののぼりではダブルアックスの要領で越えていきます。若干雪がゆるんでいるのでしっかりツァッケを効かせるため蹴り込み踏ん張り、滑ったら止まらない斜面では緊張しながら進みます。 ファイナルウォールの取り付き到着です。2パーティ待ちではありましたが、1時間程度の待ちで我々の番となりました。雪も緩んでいましたし、先行パーティもどちらもロープを出していたので、我々もここは確保することにしました。 今までノーザイルでしたし、最後尾で写真を撮りながら行かせてもらっていましたが、せっかくなので申し出て、ここだけトップで行かせていただきました(´∀` ) 60度、60mということですが、壁の前半はさほど傾斜は強く感じず、先行パーティのお尻にぴったりくっついて登攀します。我々は60mロープだったので、1本で行くことができました。取り付きの岩には残置ハーケンがあり、そこで支点を取って確保してもらいます。 先行パーティはデッドマンとスノーバーで支点を取ってました。壁の途中で待つのは不安定ですが、中間には大きなバケツがあって、ある程度は安心して待つことができました。 先行のセカンドが登り始め、テイルトゥノーズでついていきます。いよいよ雪庇の通過ですが、人一人、ザックを背負ってやっと通れる穴です。壁の上部までくると少々傾斜が強く感じ、ツァッケもしっかり蹴り込んで安定させないと不安でした。それでも写真撮るくらいの余裕は全然ありますが。朝から気になっていた左上の亀裂も徐々に広がっている感じもあり、サクサク進みたいところです。 振り返ると、今まで通過してきた稜線が何やら生き物の背のように大きくうねりながら続いていきます。右に左に、結構アップダウンもありながら。雪庇を越えてしまうと全く見えなくなるでしょうから、少々目に焼き付けていよいよトンネルに入ります。 雪庇前の雪壁は上部はしまっているとはいえ、バッチリピックがささる感じではなく、若干だましだましな感じでしたが、トンネルの中は引き締まった雪質で足もピックも決まりやすいです。足元を見ると、なかなかの高度感を味わえます。 上を向くと青空が広がっており、いよいよ山頂です! このルートは美しい稜線がダイレクトに山頂につながってフィナーレを迎え、とても爽快感があります。なおかつこのゴールのトンネルはさらに登攀完了の気分を盛り上げてくれます。このトンネルを越えるとゴールだといううれしい気持ちと、これで登攀が終わってしまうもったいなさを感じながら山頂に抜け出ました。 さて、この後3人を引き上げなければなりません。山頂では猛烈な風が吹いていて、少々気持ち悪いですが、雪庇にあいた割れ目に身を隠して風をよけて確保体勢に入ります。 あまりの風の強さに寒さも厳しく、一般登山者も、先行パーティもそそくさと山頂を後にし、ポツンと一人で雪庇にあいた穴にロープをたらし、一人でアイスフィッシングを行う感じです(´∀` ) しばらくして、一匹目。 2匹目。 最後の3匹目を釣り上げて、パーティ全員無事完登となりました(´∀` ) 小蓮華尾根側から見た白馬岳主稜のファイナルウォールです。山頂から5分程度下ったところから撮影。 我々の後続パーティがまさに登っているところです。中間で支点をとって進んでいってます。横から見るとダイナミックな壁ですね(´∀` ) とりあえず山頂で記念撮影して、杓子岳を目指します。 あれ。おもったより遠そうだね。。。雪渓使って下りたい気持ちを抑えて杓子岳を目指します。 緩やかな尾根を伝ってトボトボ進みます。たくさんのスキーヤーが登ってきては、雪面にシュプールを気持ちよさそうに描いていました。 最後の急登りを終えて、やっと山頂に到着です! ここで、ちょうど別行動の杓子岳東壁隊と落ち合い、一緒に下山することに。 山頂直下の急峻な下りは、メンバーの体力と雪のゆるみ具合を鑑みてロープを張ります。 下りでは合計3か所ロープを張りました。ただ、7人パーティとなってしまい、時間はかなりかかってしまいます。 日もどんどん傾き、雪も緩みっぱなしで、スノーリッジもところどころ崩壊し、斜面にはシュルンドが口をあけているところもありました。シュルンドとシュルンドの間をだましながら通過したり、ジャンプして越えるような場面もあり、少々緊張しながら、進みました。 ほとんど日も落ちかけて、樺平へ到着です。小休止して、もうひと踏ん張りして小日向のコルへちょうど日没直後に到着しました。 僕は最初から朝下山の予定で、他のメンバーはもう一日行動してから下山だったのですが、体力と今後の天候とかも鑑みて同日に下山となり、夜は残った食材も消化しつつの盛大に宴会でした。 翌朝は撤収を前に先に下山させてもらいました。 昨日までの陽気で入山時にはきれいな白銀だった雪渓も雪解けが進んで、黄砂層が露出した茶色に変わっていました。 北アルプス北部のメジャーなクラッシックルートをこのような好条件で行けたのはとても恵まれていたことだとおもいました。ただ、刻々と変わる条件に安定して登攀できるようなスキルと体力は、パーティとしても確実に身につけておかなければと強く感じました。今シーズンの雪山は終わりましたが、次のシーズンに向けて登攀力とシーズン前は体力、技術を高めておこうと思います。 とはいえ、とても気持ち良く、思い出に残る山行でした(´∀` )
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