2008年12月28日〜30日
08年の締めくくりは、涸沢岳西尾根の登攀です。天候には恵まれて快適な登攀ができました(´∀` ) 12月28日(日)曇り 新穂高発8:40〜白出沢出合12:15〜テン場着15:30 新穂高の観光案内所の前にはパトカーが何台か停まっていて、ものものしい雰囲気でした。 ※抜戸岳の雪崩で、2名行方不明とのことでした。我々が入山した日より連日捜索が行われておりましたが、難航し一旦捜索が打ち切られたようです。そのほか、周辺では報道されただけで以下の遭難がありました。 観光案内所を後にし、しっかりしたトレースを進んでいきます。つい一週間前まではまだまだ雪も少なかったらしいですが、クリスマス頃からの積雪ですっかり景色が変わったそうです。この日の天候は曇り時々雪となっていましたが、視界も良好で、取りつきまで順調に進むことができました(´∀` ) 白出沢出合いから尾根に入るとトレースはしっかりしていましたが、急登が続きペースが上がりません。思ったよりも雪の付きは薄く、木の根っこや岩にしがみつきながらの進行となりました。当初の予定では、本日中に2400mのテン場まで行くことにしておりましたが、明るいうちに設営と明日に備えての早めの休息ということで、2000mを越えたあたりの斜面を本日の幕営地としました。 2人用テントであれば、1700mや2400mとかに限定せずとも尾根上であれば多少の整地でどこでも設営できそうでした。テント二張りを早々と設営して、夕食の準備をします。ただ、この周辺の雪のなかに小さい木の葉などが混ざっていて、水つくりはごみ取り作業とかあって、いつも以上に苦労しました。今回の食事はいつになく豪勢なメニューが続き、この山行の消費カロリー以上に摂取できたような感じでした(・∀・;) 深夜雪がパラつくことがありましたが、比較的穏やかでした。深夜4時頃だったと思いますが、登山者の足音が聞こえました。我々も明るくなったら出発ということでしたが、のんびりしてしまい、出発は7時半となってしまいました。 本日の朝の天候はチョー快晴です!年末のこの日以外は曇りもしくは雪だったので、冬期登攀としてもとても恵まれた状況です。風も穏やかでサイコーです(・∀・
) 途中の木々の合間から氷と岩の要塞のように南岳の急峻な山容が見え、背後にはすっぽり雪に覆われたなめらかな笠岳、抜戸岳がそびえてました。森林限界を越えてからの急登を上り詰めると西穂の稜線と蒲田富士が目に飛び込んできます。このジャンクションは下りで見落としてしまう可能性があるため、赤旗を立てているパーティもありました。 蒲田富士に向って一直線に進みます。先行者のトレースもあり、雪もしっかりしていて歩きやすかったです。ただ、斜度は増してきているのでペースはなかなか上がりません。 蒲田富士までの雪壁には残置ロープがありますが、凍りつき、一部雪に埋まっている状況です。斜面は一部氷化しているところもあり、滑落は底まで止まりそうにないので、ちょっと気が張りましたが気持ちいい天候と景色に癒されながら進みます。しかしながら、この急登は息が上がります(´・ω・`) 蒲田富士からも先行者のトレースをたどります。後半で一部ナイフリッジの部分がありますが、快適に進みます。振り返った雄大な景色に感動です。(´∀` ) 眼前には涸沢岳が間近に迫ってきます。蒲田富士すぎたところからは凍てついた滝谷が見えてきます。このころから少し雲も湧いてきて、風も強くなってきました。出発が遅かっただけでなく、ペースも遅かったため、涸沢岳から下山してくる先行パーティが見えます。写真中央の岩壁の右にあるガリーを登りました。この途中のところで小休止をして、ここで体力と時間的なことも考え、下山組と登頂組に分かれました。 涸沢岳に続くルンゼを詰めていくと、いったん岩壁にさえぎられていた滝谷と大キレットが左手に見えてきます。この迫力は言葉が出ません。槍穂の縦走路はその険しさが雪をまとって一層強く感じます。いつまでも見とれてしまいそうでした。ルンゼは一部氷化してましたが、アイゼンもしっかり効いて安定して難しいところはありません。雲も出てきて風も強くなっており、時刻も遅くなっていましたので、急ごうとしますが、息も上がっていて、全然山頂につきません(´・ω・`) いくつもの偽山頂に凹みながら、ついにたどり着きました!(´∀` ) 山頂からは槍穂縦走路が見渡せました。強風と寒さのため長居はしませんでしたが、登頂の感動と北アルプスのスケールの大きさを改めて実感しました。 下りも視界は良好ですし、雪の状態も良かったため、多少風はありましたが、特に問題なく高度を下げていきます。 蒲田富士の稜線まで15時までにこれたので、日が沈む前にテン場に戻れそうです。 この日は風はさほど出ておりませんでしたが、蒲田富士のプラトーにテント2張ありました。風がなければとても快適そうですし、目の前には笠岳もそびえていて、贅沢な景色独り占めって感じですね。 遠くの山並みもうっすら夕暮れ色に染まっていきます。モノトーンに温かい色味が差して幻想的な景色が広がります。 蒲田富士の直下の急登を慎重に降りて、安全地帯に入りました。とはいえ、ここからも樹林帯の急斜面を下りなければならず、根っこと岩に足を滑らせないよう下ります。っていうか、へろへろで踏ん張りききません(´Д`;) 2400mのテン場には8張りと朝よりも増えており、賑わっていましたよ。 テン場直前いよいよ日も傾き、赤い木漏れ日が白い雪を色鮮やかに染めていました。きれいなマダラ模様にちょっと気分良くしながら、よれよれの足を引きずって、なんとか日が沈む前に到着することができました(´∀`;) この日も木の葉入りの水からカレー作り、満腹で寝むりにつきました。明日は「目が覚めたら」という超のんびりな予定です。この日の夜は風が強く、稜線はどんな状況かと蒲田富士テン泊のパーティを思い出したりしました。 翌朝目が覚めたら、最後の豪勢な食事を作って、撤収開始です。下りは登った時よりも雪がしまっていて歩きやすかったです。この日は曇りでしたが、特に天候が崩れることもなく下山できました。途中、数パーティとすれ違いましたが、中には途中まで来て、状況を確認し、明日以降の天候も考え止む無く下山する人もいました。 穂高平の小屋からはショートカットで下山します。穂高平の小屋は年末年始の特別営業してましたよ。 観光案内所手前で雪だるまがお出迎えしてくれました(´∀` )鼻は本物の人参でした。どこから・・。 まだ取材陣も待機していて、ここ数日おきた遭難など教えてくれました。 今回のルートですが、当初もっと幕営地は上部(2200m付近)かと思っていたところ、結構下でした。 今回の山行は絶好のコンディションの中で楽しめました。そんな中、問題のある個所はほとんど無いにも関わらず、予定変更や時間切れなどを考えると、悠長な山行は見直さなければと感じました。また機会があれば今度は奥穂まで足を伸ばしたいです。加えて、同じ山域で遭難事故が重なって発生し、改めて安全に楽しむために知識体力技術など、いろいろ備えなければと思いました(・∀・ ) |